EUのローミング無料化は2037年まで?日本からの旅行者が知るべき対象と期限

この記事の要点:EUのローミング追加料金撤廃は、2037年まで延長されていません。現行の「Roam Like at Home」の期限は2032年6月30日です。2026年の対象国や利用制限に加え、日本からの旅行で誤解しやすい適用条件と、旅行用eSIMが役立つ場面を整理します。
EUのローミング無料化は2037年まで延長された?
現行法では、2037年までの延長は決まっていません。2026年10月27日時点で、EUの「Roam Like at Home」が定める適用期限は2032年6月30日です。この期限を2037年に変更するEU法は成立していません。
「2037年」という情報は、現在の期限にさらに5年を足した推測から生まれた可能性があります。ただし、推測と正式な延長決定は別です。根拠となるのは、2022年7月に従来の枠組みに代わって適用された規則(EU)2022/612です。
もちろん、2032年になれば必ず追加料金が復活する、という意味ではありません。EUは期限までに制度を見直し、新たな規則の制定や延長を行うことができます。現段階では、2037年を確定済みの期限として扱わないことが重要です。
⚠️ SNSやニュースの見出しで「EUローミング無料化、2037年まで」と見かけたら、新たに成立したEU規則へのリンクがあるか確認しましょう。提案や政治家の発言、制度の見直しは、法律の成立とは異なります。
何が無料になる?日本の携帯回線にも適用される?
Roam Like at Homeは、制度の対象となる携帯電話契約を、対象地域内の別の国へ一時的に旅行する際にも国内と同じ条件で使える仕組みです。通話、SMS、データ通信には、契約内容や公正利用のルールが適用されます。「通信そのものが誰でも無料になる制度」ではありません。
ここは日本からの旅行者にとって大切な点です。日本で契約した携帯回線が、EUに着いた瞬間にこの制度で無料になるわけではありません。日本の回線を使う場合は、契約先の海外ローミング条件を確認してください。旅行用eSIMにも、その商品の対象国やデータ容量などの条件があります。
例えば、対象となるフランスの契約でスペイン、ドイツ、イタリアへ旅行する場合、通常のローミング追加料金なしで同じSIMやeSIMを使えます。また、訪問先のネットワークで提供可能な場合には、国内と同等の通信品質も求められます。普段5Gを使う利用者を、ローミング中という理由だけで意図的に低速な方式へ切り替えてよいわけではありません。
- 着信:対象地域内でのローミング中は、制度の対象となります。
- 通話・SMS:ローミング中にEUの番号へ発信・送信する場合、原則として国内契約の条件が適用されます。
- データ通信:契約容量を利用できますが、海外利用専用の上限が設けられる場合があります。
- 緊急通報:112を含む緊急サービスへ無料でアクセスできます。
- 利用案内:適用される制限や、音声通話以外の緊急連絡手段について情報が提供されます。
💡 ローミングと国際電話は別物です。自分の契約国にいながら他国へ電話する行為は、ローミングではありません。EU内の国どうしでも、異なる料金ルールが適用される場合があります。
2026年の対象国と対象外の渡航先
対象はEU加盟27か国と、欧州経済領域(EEA)のアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーです。さらに、2026年1月1日からウクライナとモルドバもEUのローミング地域に加わりました。
| 渡航先・接続先 | 2026年の扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| EU加盟国 | 対象 | 対象契約の国内条件で利用可能。公正利用の制限を確認 |
| アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー | 対象 | 契約のローミング用データ容量を確認 |
| ウクライナ、モルドバ | 2026年1月1日から対象 | 通信会社の契約条件への反映状況を確認 |
| イギリス | EU法による適用対象外 | 通信会社が独自に提供するローミング特典を確認 |
| スイス | 自動的には対象にならない | 入国前に料金を確認 |
| 西バルカン諸国 | EUの制度には未参加 | 追加プランや旅行用eSIMを検討 |
| 船内・機内の衛星通信など | 対象外 | 機内モードにするか、データローミングをオフにする |
特に注意したいのがイギリスです。英国の通信会社には、ヨーロッパでのローミングを独自に含める会社もあれば、料金を請求したり、プランごとに制限を設けたりする会社もあります。英国の契約について、EU法が追加料金なしの利用を保証することはありません。
対象地域や旅行者向けの公式案内は、欧州委員会のEUローミング制度の解説ページで確認できます。
「無料」でも無制限とは限らない
Roam Like at Homeが想定しているのは一時的な旅行であり、他国での常用ではありません。長期間、契約国よりも海外で主にSIMを使っている場合、通信会社は公正利用のルールに基づいて確認を行えます。
一般的には、少なくとも4か月間の滞在状況と通信利用を、契約国と海外で比較します。滞在と利用の両方が主に海外に偏っていると、通信会社から連絡が入る場合があります。その際は、事情を説明したり使い方を変えたりするための猶予が与えられ、その後に規定の追加料金が適用されることがあります。
無制限プランや格安プランにも海外利用の上限がある
国内では「データ無制限」のプランでも、ローミング中の容量は少ない場合があります。特に無制限プランや、1GBあたりの実質料金が非常に安いプランでは、公正利用のルールによってこうした上限が認められています。通信会社は上限を案内し、到達前に通知する必要があります。
⚠️ 「無制限」という表示だけで、ヨーロッパ全域で使い放題だと判断しないでください。地図のダウンロード、動画視聴、テザリングを始める前に、契約者ページでローミング用の容量を確認しましょう。
EU域内でも追加料金が発生するケース
思わぬ高額請求につながりやすいのは、EU内の一般的な都市滞在そのものより、制度の対象外となる接続や使い方です。次のような場面に気をつけましょう。
- 船内・機内の通信:フェリー、クルーズ船、航空機で、携帯電話が衛星通信サービスに接続することがあります。
- 国境付近:スイスなど、対象外の国の電波を拾う場合があります。
- 特別料金の電話番号:通常の通話が含まれていても、特殊なサービスへの発信には別料金がかかることがあります。
- 海外での常用:長期滞在では、公正利用の確認対象になる場合があります。
- 通常の適用範囲外の地域:EU加盟国と地理的・行政的なつながりがあっても、ローミングの扱いが同じとは限りません。
高額請求は、単なる仮定の話ではありません。O2で15万3,000ポンドのローミング請求が問題となった事例や、海外でのTikTok利用に関連した4万2,000ポンドの請求事例を見ると、接続先の種類、渡航先、バックグラウンド通信を確認する重要性が分かります。
💡 フェリーや飛行機に乗る前に、機内モードをオンにしましょう。ネット接続が必要なら、携帯回線のデータ通信は戻さず、船内や機内のWi-Fiだけを有効にします。
ヨーロッパ旅行にeSIMは必要?
制度の対象契約をすでに持っていて、対象地域内を短期間旅行するだけなら、普段のプランで足りることがあります。一方、日本の回線で渡航する場合は、このEU制度だけを根拠に判断できません。自分の契約の海外利用条件と、旅行用eSIMを比べて選ぶ必要があります。
イギリス、スイス、西バルカン諸国などを周遊する旅では、旅行用eSIMが役立つ場合があります。対象契約を持っていても、ローミング用のデータ容量が少なければ、別のデータ回線を検討する価値があります。
- ローミングの容量だけでは足りない。
- EU加盟国と対象外の国をまたいで旅行する。
- いつもの電話番号を維持しつつ、データ通信は別回線に分けたい。
- 旅行中のデータ使用量を管理しやすくしたい。
- 仕事や地図アプリのために、予備の接続手段を用意したい。
EUのローミング対象地域を越えて旅行する場合は、次のeSIMサービスも比較してみましょう。
データローミングは、実際に通信に使う回線だけで有効にしてください。デュアルSIM端末では、モバイルデータの自動切り替えもオフにすると、意図せず普段の回線へ戻るのを防げます。
出発前に確認したいこと
出発前の2分ほどの確認で、思い込みによるトラブルを減らせます。日本からの旅行なら、まず自分の契約が何をカバーしているかを確認したうえで、次の項目をチェックしましょう。
- 旅程に含まれるすべての国が、利用するプランの対象か確認する。
- 自分の契約プランに適用される海外データ容量を調べる。
- テザリングやインターネット共有に別の条件がないか確認する。
- 公正利用の条件と、追加料金に関する通知を確認する。
- 船内・機内や対象外国との国境付近では、携帯回線のデータ通信をオフにする。
現行制度の期限は、2037年ではなく2032年6月30日です。EUが新たな法令を採択するまでは、この日付を基準に情報を確認しましょう。そして日本からの旅行では、「EUで無料」という言葉だけでなく、自分のSIMと契約に適用される条件を確かめることが大切です。
よくある質問
EUのローミング無料化は2037年まで確定していますか?
いいえ。2026年10月27日時点で、現行のEU規則の適用期限は2032年6月30日です。2037年までの延長は成立していません。また、日本の携帯契約がEUへの渡航だけで自動的に無料になる制度ではありません。
2032年6月を過ぎると、ローミング料金が復活しますか?
必ず復活するとは限りません。EUは期限までに規則を延長したり、新しい制度に置き換えたりできます。2032年以降の枠組みは、まだ確定していません。
イギリスもEUのローミング無料化の対象ですか?
いいえ。EU法は英国の通信会社に対し、EUでのローミング追加料金を撤廃するよう義務づけていません。独自に含めている会社もあるため、契約プランの条件を確認してください。
ウクライナとモルドバも対象になりましたか?
はい。両国は2026年1月1日にEUのローミング地域へ加わりました。対象となる契約の利用者は、Roam Like at Homeの条件で通話、SMS、データ通信を利用できます。
EUの中を旅行していても、追加料金がかかることはありますか?
あります。公正利用に基づく追加料金、特別料金の番号、衛星通信、対象外の地域、契約ごとのデータ容量制限などに注意が必要です。対象地域内にいることだけで、あらゆる通信が追加料金なしになるわけではありません。







